2023年7月20日更新。
精神科病院で働いてた時のことを思い出した。
なんの精神疾患だったか忘れちゃったんだけど、人格が保たれてる患者さんで、発語が出来なくて、動脈解離もあって抗血栓薬を十何錠も飲んでる人がいた。
爆弾を抱えてていつ血管が破裂するか分からない状態。
その患者さんの笑顔を見るのが私は大好きだった。
ある日、私はやらかしてしまい「科長に叱られるー報告しなきゃー言いたくないー行かなきゃーあーあーあーあー」と絶望していると、
聞いてた後輩が「チチさん、腹を決めてください。私はここで待ってます!さぁ!行ってください!」と他人事のように言ってきた。
「よし。任せろ。ちょっと行ってくるわ。」と私は謎の先輩風を吹かし、そのやり取りを見てた患者さんが、私に手招きした。
患者さんのそばに行くと、私の背中に手をまわし、抱き寄せて背中をぽんぽんしてくれた。
話すことができない患者さんは、いつも表情や身振り手振りで思いを伝えてくれた。
別の日、後輩と患者さんに夕飯を持って行った。
今夜は手品師の私を披露して差し上げようと思い、助手役の後輩から受け取ったエプロンを「ターララララララ〜」と口ずさみながらヒラヒラ舞わせ、患者さんの首に巻いた。
得意気な顔をしてる私にすかさず後輩が言った。
「先輩、逆です。」
その瞬間見てた患者さんが吹き出して涙流しながら笑った。
声にならない声で笑い転げてた。
たぶん、滑稽な私たちを見てたまらなかったんだろう。
あの瞬間の患者さんが顔を真っ赤にして涙を流して笑った表情や姿があまりにも愛しくてキラキラしてて、私自身、すごく幸せな気持ちになった。
帰宅してからもその光景を思い出して顔がほころび、そして涙が流れた。
嬉しい時も涙って出るもんなんだな、と思った。
患者さんとの温かい思い出(^_^)
その患者さんのおかげで、自分の進みたい分野がはっきりして、私のやりがいはこれだ!と思った。
誰かの笑顔が私の原動力で、励みになってる。
看護師になって良かったと思わせてくれたその患者さんを思い出した。
当時の写真。今も大好きな仲間たち。